コンセプト
密集地におけるツブレ地などの管理に悩まされている、地主との対話の中から生まれた提案。
放火等に対する防犯やゴミの投棄等だけでなく、土地を遊ばせずに収益を生むような仕組みづくりや10〜15年後の将来を考慮した展開手法に対してのひとつの回答となる建物となっている。
回答の大きな軸として、
「仮設であること」
老朽化している周辺の建物との歩調を合わせつつ、状況に応じて、移設・撤去そして再利用・売却が可能である。将来の空き地の増加に伴い、機が熟した際の一体利用を可能にさせてくれる。
そして、この「仮設性」の持つ負の印象を補い、那覇における住居としての機能を持たせる仕組みとして、大まかに以下の工夫が為されている。
○コンテナ周囲を厚みのある木で囲うことで夏の暑い日差しからの遮熱の役割を持たせつつ表層に表情を与えた、コンテナを意識させない負を正へと転換させるような空間創出を目指した。
○単純な配置を心がけて、限られた面積の中で住宅としての機能を最大限に確保させた。
具体的には半戸外空間、ユニットバス、キッチンの配置に見ることができる。
半戸外空間に出されたキッチンは、キャンプや古代住居の考え方と、コンビニ等による食のアウトソーシング化の社会状況等から総合的に判断した。ただし一番の判断根拠は、コンテナという空間の避けられない限界から生じる。
○従来のワンルームアパートには無い、プラスアルファとなる空間・デザイン・機能を付加した。
平屋であること・トップライトがあり明るいこと・多目的な半戸外空間があること・木の素材感があること・キャンプ感覚のキッチンがあること・庭として利用可能な余白空間があること等など
○高密度に拠らない空間創出を目指し、コストバランスの維持に努めた。
○経年変化を「味」と考え、メンテナンスを前提に納まり等を決定した。
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一般的なプレハブ住居との差異について
「仮設性」から導き出された、「コンテナ」という形態についての判断理由
○コンテナの様なユニット式とは異なり、プレハブ住居のその多くはパネル式である。どちらも仮設性を帯びているが、ユニット式はユニットごとの移設等が可能なのに比べ、パネル式は取換え等が簡便な分、解体・再構築の作業があり、今回においてそれを手間と考えた。
○コストについてどちらも、低く抑えることが念頭にあるが、パネル式はパネル自体がユニットになっていることもあり、取換え等も可能にさせる上に安価であるが、カタログによる限られた選択性を持つ。コンテナのようなユニット式の場合は、ユニット自体の選択性も持ちえるが、独自の加工に対応し易いということが挙げられる。
○構造的にパネル式よりユニット式が寄り堅固である。それは重量物を載せた輸送を目的とするコンテナの最大の強みでもある
○両者の大きな違いとしてコンテナには錆による劣化という問題があるが、防錆塗装等の工夫により防げる、そして「仮設性」という目的の上では、大きな意味を持たない。
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本来、高密度による居住を求められる那覇中心部において、未だ古い木造家屋郡が狭い路地を形成しつつ点在しながらも残っている現状があり、戦後の住居密集による区割りの後処理による理想と現況のズレが生じている。
そのズレは、空き地や空き家となって現れ、その動的な空間の効果的な利用・展開などの価値を見出せずにいる。
また、少子高齢化による人口減少等の社会状況も相まって、ラジカルな展開は決して望むことはできない。社会状況に歩調をあわせ、緩やかに動的変化を見せる空間を如何にリスクを押さえつつ展開させるかが解決に至れない深いテーマとして残っている。
UniCoN 2ndはあくまで、沖縄における那覇においての展開手法の一事例であり、市街地再生の為の模索の表れである。
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