経緯
1943〜1944年にかけて戦争の激化に伴い多くの飛行場用地が必要とされたため、日本軍により全国各地において土地の強制接収が行われた。戦後、日本本土においてはその土地の多くが旧地主に返還されるなどの解決がなされたが、米軍統治下の沖縄においては米軍用地として使用され本土復帰後は国有地として移管されたために旧軍飛行場用地問題として存続することとなった。問題解決のため1995年に大嶺地主会の呼びかけによって旧那覇飛行場用地問題解決地主会が結成され、2000年には県内各地との連携協力により沖縄県旧軍飛行場用地問題解決促進協議会が組織された。これにより2002年には沖縄振興特別措置法案に付帯決議として採択された。土地をめぐる戦後補償問題だったが、沖縄振興計画に組み入れられたことにより慰藉事業しての本施設の計画が構想され、大嶺地主会も苦渋の決断としてこれを受け入れた。これらの経緯により、那覇市の地域振興に資し旧地主会への慰謝を目的として本施設は建築された。
設計主旨
・施設は明確な敷地境界はつくらず、遊歩道や公園と一体化して緑でつながるようにした。
・施設への出入りは、明確な歩車分離を図るために、モノレール駅まで続く遊歩道からの歩行者進入口と駐車場との進入口の合流点に玄関ホールを設けた。その玄関ホールを起点にホール棟とカルチャー棟に機能を分離した。
・建物の外周部は周囲との視認性を考慮し開き、内側からも外を見通せるように開放させた。その内側には多目的ホールを軸に多用途に利用できる各種施設を配置させた。
・屋上テラスや前庭には当時の集落がイメージできるように東屋や植物が配置され、旧大嶺集落の面影や香りが感じられるようにした。
主要な施設
・多目的ホール ――オーケストラ・演奏会・演劇公演・講演会・映写会・乳児検診等に利用できる(舞台機構・舞台音響・舞台照明・音響反射板・スクリーン)
・ふれあい情報 ――広く市民に情報を発信する機能・読書、勉強ができるカフェ室
(読書カフェ) 地産地消飲食、講習会・世代をこえた交流ケアサービス
・展示室 ――常設展示・旧大嶺集落の歴史的経緯と文化・生活・行事等の紹介
企画展示・各種企画の展示(絵画展・写真展・生け花展・発表会)
・トレーニング室――各種トレーニング機器を備えたジム・機能回復ケアルーム
・研修室 ――各種研修ができる3室を備え、可変し連続した部屋として利用可
施設概要
敷地面積 6,007m2
用途地域 第一種低層住居専用地域(法定建ぺい率:60% 法定容積率:150%)
主要用途 集会場(ともかぜ会館)、保健センター
構造 鉄筋コンクリート造 3階建て
建築面積 1,934.41m2(建ぺい率:32.20%)
延床面積 2,842.41m2(容積率:45.97%)